のためを考えれば、読まない方が良い本というのがあります。たとえば、飯田鉄氏著の
「使うライカレンズ」
読んだがために、いろいろ悩んだあげく、結局このレンズが私の手元にいます。
ELMARIT-R 35mmの作例として、「交詢社」と掲げられた石造りの建物に、まさに人が入ろうとする写真が載せられているのですが、その立体感と被写体にふさわしい発色に魅了されてしまったのです。
このレンズには3つのタイプがあるのですが、取り上げられていたのは「Type I」のものでした。「Type II」では、鏡胴デザインとレンズ構成に変更が加えられ、「Type III」では鏡胴デザインだけが変わったようですが、ネット上の作例などを見ていると、「II」と「III」では、微妙に違うような気もしますので、コーティングや内面反射防止対策等、多少の変更があるのかもしれません。もちろん、「I」とは異なる写りです。
「Type I」は本来1CAMなのだそうですが、私のものは3CAMに改造されたものでした。LEICAの場合、メーカーでこのような改造に対応していたそうです。
なお、この本の解説文の中では「0.3mの目盛りを超えて20センチ近くまでフォーカシングできる。」と書かれていたのですが、私の個体では27センチぐらいでした。
で、撮ってみた結果はというと、私にとっては十分満足のいくものでした。古いレンズですので、少し逆光には弱いですが、全面にフレアが掛かってしまうというようなものではありませんでした。
また、開放では背景のボケが暴れることもありますが、ピントの来ているところは十分シャープです。
今では、良く写るレンズはそれこそたくさんありますので、被写体を選ぶレンズ、被写体によって選ぶレンズというのも、かえって存在価値があるような気がします。
言葉通りであれば、ありのままを写すのが「写真」なのかもしれませんが、印象を写し撮るのもまた写真なのではないかと思うのです。
カメラ: Canon EOS 20D
レンズ: LEITZ WETZLAR ELMARIT-R 1:2.8/35 (Type I)